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前期に2割特例を使わないと、当期に当期からの簡易課税選択届出ができない
最終更新日:2023年08月27日

簡易課税を選択する場合には、適用をしたい期の前の期に選択届出書を提出するのが原則ですが、インボイス制度の導入にあたり、令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に、免税事業者がインボイス発行事業者の登録を受ける場合には、その登録日の属する課税期間中に簡易課税制度の選択届出書を提出すれば、その課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができることとなっています。(改正令附則18)

免税事業者がインボイス発行事業者登録を行って課税事業者になる場合には、期末まで簡易課税の選択をするかどうかの判断を先延ばすことができるため、着地が見えるまで本則課税にするか、簡易課税にするか、ギリギリのスケジュールになりそうな点が悩みどころとなるところでした。

最近、2割特例が出てきたため、簡易課税のみなし仕入率が80%未満の場合には、初年度は一旦、簡易課税の選択届出をしないという判断ができるようになりました。

簡易課税の当期中の選択が可能なのは、その登録日が属する課税期間中に届出をした場合なので、その翌期以降に簡易課税制度を適用するのであれば、原則的にはその前の期に届出書を提出する必要があります。

…ですが、ここにも特例が出てきています。

2割特例後に簡易課税制度を選択する場合。

以下、国税庁の『2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要』を引用します。

  •  2割特例の適用を受けたインボイス発行事業者が、2割特例の適用を受けた課税期間の翌課税期間中に、消費税簡易課税制度選択届出書を提出したときは、その提出した日の属する課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができる(28改正法附則51の2⑥)

法律の構成としては、28改正法附則51の2が「適格請求書発行事業者となる小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置」、つまり、2割特例の規定となっており、簡易課税の適用の特例については、その6項に含められています。

一瞬、見間違えてしまいそうなのですが、免税事業者がインボイス発行事業者登録を行って課税事業者になったことが条件となっているのではなく、簡易課税制度を適用したい前の期に2割特例の適用を受けた場合に限定されている点に留意が必要です。

また、基準期間の課税売上高が1千万円を超える事業者等については、そもそも2割特例の経過措置の対象外のため、2割特例を使った翌期の基準期間の課税売上高が1千万円を超える場合等にも、原則通り、その前の期に簡易課税選択届出書を提出する必要があるものと考えます。

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