令和7年10月1日から、ID・パスワード方式の新規発行が停止されているようです。(9月25日のお知らせです。)
マイナンバーカード方式は、e-taxの開始届をするときに、マイナンバーカードを使ってログインするとe-taxのIDが発行される方式で、ID・パスワード方式はマイナンバーカードなしでe-taxの開始届を提出してe-taxのIDが発行されるパターンと思い込んでいたので、ID・パスワード方式ができなくなるとすると、マイナンバーカードが無い人はどうなるんだろう…税理士が代理で開始届を提出する場合はどうなるのだろう…と思っていたのですが、よくよく調べてみると、両方式の理解が間違っていたようです。
そもそも、e-taxの開始届出は、マイナンバーカード方式でもID・パスワード方式でも必要です。納税者がe-taxで確定申告を行う場合、開始届出を行ってIDが発行されても、確定申告をする時にマイナンバーカードがなければ、電子署名ができないので、確定申告をすることができません。そこで、マイナンバーカードを使わない人は、税務署で本人確認をしてもらったうえで、ID・パスワード方式の届出をすれば、マイナンバーカードなしで、そのIDとパスワードを使ってe-taxで確定申告をすることができますよ、という制度です。
つまり、ID・パスワード方式は納税者がe-taxを使って確定申告をする方法であって、税理士が代理送信する場合には、税理士の電子署名を付すので、納税者がマイナンバーカード方式でIDを取得していても、ID・パスワード方式でIDを取得していても、納税者のIDを使って確定申告をすれば良いということになります。
国税庁の『税理士及び税理士法人等向けのよくある質問』にも記載がありました。
- 税理士等による代理送信は、マイナンバーカード方式やID・パスワード方式の対象ですか。
- 税理士等の方は、代理送信を行う場合はマイナンバーカード方式及びID・パスワード方式はご利用できません。
- マイナンバーカード方式やID・パスワード方式の対象は、個人納税者が行う本人送信のケースであり、税理士等による代理送信については、従来の方法に変更はありません。
- 従来と同様に、提出する申告等データに納税者のe-TaxのIDを入力して、税理士の電子署名を添付して送信ください。
- なお、税理士等の方がご自身の申告等データを送信する場合は、マイナンバーカード方式をご利用いただくことは可能ですが、ID・パスワード方式はご利用できませんのでご注意ください。
そのため、税理士が代理で開始届出を行う場合には、従来通りの方法で、依頼者からの代理で開始届出を行えば、e-taxのIDを取得することができるということになります。
最近の運用がどうなっているのかはわかりませんが、以前は、既にe-taxのIDを持っている人が、新しくマイナンバーカードを取得してe-taxに新規ログインした場合、IDが二重に発行されて、以前持っていたIDの確定申告の記録が上書きされて見られなくなる、という事がありました。そのため、IDが二重に発行されると、税務署の人から電話が来て、どちらのIDを使うのか聞かれることがありました。
今回は私が代理で確定申告をするけれども、次回はお客さん自身が確定申告をする場合があります。その時に、私がマイナンバーカードなしにIDを取得して、お客さんが翌年にマイナンバーカードで開始届出をして新規にIDの発行を受けて、私が行った確定申告のデータがなくなる、という事が起きないようにする必要があります。そのため、新規のお客さんには、IDを持っているかどうか確認をして、持っていない場合には、その場でマイナンバーカードを使ってIDを作っていただいて、e-taxのパスワードを設定し、委任関係を結んでいただいています。迅速な確定申告が必要で、私が代理でIDを取得した場合には、確定申告完了後に、マイナンバーカードとIDを紐づける方法をお知らせしています。
今後は、ID・パスワード方式がなくなるということになりますと、マイナンバーカードをお持ちではない人には、マイナンバーカードを取得することをお勧めしないといけないかもしれません。